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外食産業の労務管理

外食産業の労務管理

labor management

名ばかり管理職

Q1大手ファーストフード店の「店長の残業代」についての裁判の報道が印象的ですが、具体的にどういうことなのでしょうか?
A1 大手ファーストフードの店長が、自らの労働者性を主張し、会社に対して残業代の請求をしたのですが、会社側は、「店長は『管理監督者』たる立場にいる者で、労働者ではない。」と反論し、第一審では会社が敗訴しました。第二審でも、事実上の敗訴とも言える和解となりました。この裁判が世の中の注目を浴びたのです。労働基準法上の『管理監督者』に該当するか否かは、個別のケースにあてはめないと判断がつきかねる極めてデリケートな問題で、裁判例の傾向(『管理監督者』の範囲が狭い。)と、行政通達の間にすら乖離があるのが実情です。会社側が考えるいわゆる管理職と、法律上の『管理監督者』はイコールではありませんので、裁判になれば、会社側が負ける可能性は少なくありません。中小企業においてはもちろんのこと、場合によっては大企業に至るまで、「取締役以外の『管理監督者』などありえない。」くらいの認識を持っておいても決して大げさではありません。

遅刻の取り扱い

Q2当社は交通の便が少し悪いところにあるせいか、アルバイト従業員の遅刻が多いのが悩みです。バスや自家用車で通勤する者の中には、渋滞に巻き込まれてしまう場合もありますし、電車も遅延することが多く、やむを得ないと現場が判断した場合には、遅刻分の控除もせずに賃金を支払っています。解決策はあるでしょうか?
A2 天災や電車の遅延等が遅刻の事由である場合には、従業員本人には責任のない不可抗力的なものではあるのですが、結論から申し上げますと、企業側に賃金を支払う義務はありません。業務に従事していない時間帯は、給料は発生しないのです。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」と言います

無断欠勤の取り扱い

Q3何の連絡もなく、突然、ある日から急に出社しなくなって、連絡も取れなくなってしまうアルバイト従業員が時々います。解雇してしまってかまいませんか?
A3 このような人に対しては、会社としては非常に困るところです。しっかりと対策を講じておかないと、実はなかなか厄介なのです。よくあるケースとしては、就業規則に次のように記載している場合があります。
「無断欠勤が続き、出勤を促したにもかかわらず、14日以上が経過した場合は、懲戒解雇とする。」
この規定に基づき、一方的に解雇しておしまいにしているケースが散見されます。実はこれだけでは手続上に瑕疵があり、解雇予告手当30日分が後日請求されるリスクがあるのです。確かに、労働基準法には、従業員に重大な責のある場合には解雇予告手当を除外できると書いてあるのですが、これには労働基準監督署の除外認定が必要だからです。これを防止するために、就業規則には無断欠勤が一定限度を超えて継続した場合には「自動失職」する定めを設けておくとよろしいでしょう。
「無断欠勤が続き、出勤を促したにもかかわらず、14日以上が経過した場合は、退職の意思を表示したものとみなし、退職とする。」
会社が解雇したのではないことが明白です。諸事情により就業規則を変更できない場合には、内容証明郵便等で30日後に解雇する旨を通知すべきでしょう。

モラルに反した行為の取り扱い

Q4外食産業に従事する従業員が、自らの反モラル行為をフェイスブックやツイッターに投稿し、営業自粛や廃業に追い込まれるお店まで出てきて社会問題になりました。企業としてどのような手立てが必要でしょうか?
A4 常軌を逸脱した行為の当事者が、来店されたお客様ではなく、内部で働く従業員であるという事実は企業にとっては大きな衝撃であり、またそうした人物を採用したことに対する社会的制裁を余儀なくされますので、大変嘆かわしいことです。営業妨害に対しては、「威力業務妨害罪」で刑事告訴することも視野にいれ、民事においても、損害賠償請求を起こす等の手段が考えられますが、これらはあくまでも事後策であって、企業としては事前に防止するなんらかの対策を講じる必要があります。まず最初に、服務心得等を復唱させるなど、「食」に携わるプロとして、職業倫理を高めていくための社内教育プログラムを再考する必要があるでしょう。次に、会社の内部事情を安易に外部に漏洩しないための厳格なルールを設け、別途、業務中はインターネットやSNSにアクセスできないような体制を整えていくべきでしょう。

改正後の労働契約法

Q5 アルバイト従業員を、単年度契約で雇用し、更新し続けていますが、労働契約法が改正されたことにより、企業はどのような点に注意しなくてはなりませんか?
A5 常軌有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき、労働者の申込みがあった場合には、労働者側に「無期転換申込権」が発生し、これを行使した場合には、使用者はこれを承諾したものとみなされます。 (「無期転換申込権」の事前放棄は無効)つまり、5年を超えて有期労働契約が反復更新された場合には、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換せざるを得ない状況が企業側に発生することになります。(※無期転換ルールの通算5年のカウントは、施行日以後に開始する有期労働契約から) 但し、6カ月以上の「空白期間」(クーリング期間)がある場合には、前の契約期間を通算しないこととされています。
今後、企業側としては、
① 無期転換申込権が発生しないようにする。
→具体的に有期雇用契約書に更新の上限を定めておく。
② 更新されるものと期待する合理的な理由があると捉えられないようにする。
→更新条項や入社・更新時の説明に注意する。
等々、具体的に対応策を練っておく必要が生じるものと思われます。